2024年3月19日

米NVIDIA、年内に先端AI半導体 性能高め競合引き離し

GTC2024で講演するNVIDIAのジェンスン・ファンCEO

米半導体大手のエヌビディア(NVIDIA)は18日、最新の人工知能(AI)半導体を2024年内に投入すると発表した。データセンター向けの半導体で、従来に比べてサーバーでAIが質問に答える際のデータ処理の性能を高めた。

NVIDAのジェンスン・ファンCEO(最高経営責任者)が18日、年次の開発者会議「GTC」で先端AI半導体「GB200」を明らかにした。GB200を組み合わせた新製品で最新の大規模言語モデル(LLM)を処理する場合、現在の先端AI半導体に比べてAIが質問に答える「推論」の性能が30倍に高まるという。

GB200は新型の画像処理半導体(GPU)と中央演算処理装置(CPU)を組み合わせて提供する。生成AIのデータを主に処理するデータセンターで使う。NVIDIAがAI向けの先端半導体を投入することで、生成AIの開発が加速する可能性がある。

AI半導体をめぐっては米アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)など競合企業がNVIDIAに対抗する製品を発表している。AI半導体で先行するNVIDIAは自社の最先端品の性能を大幅に上回る新製品を投入することで、優位性を維持する戦略だ。

テクノロジー企業はNVIDIAのGPUを使ってデータを学習することで生成AIの精度を高めてきた。ファンCEOは18日、「より大きなGPUが必要だ」と述べ、新型のGPUと関連製品を披露した。

NVIDIAは18日、車載半導体の分野では中国の電気自動車(EV)大手の比亜迪(BYD)と連携すると発表した。BYDはNVIDIAの車載向け中核半導体「DRIVE Thor(ドライブ・ソー)」を採用するほか、同社のソフト基盤も開発に役立てる。

NVIDIAは18〜21日の日程で米カリフォルニア州サンノゼで開発者会議を開いている。ファンCEOは初日の基調講演でAI戦略を説明した。20日には生成AIの基礎となった論文の執筆者らが集まって議論する。同社の事前予想では開発者会議には19年に比べて約2倍の来場者が対面で参加する。